西郷隆盛が潜居し、隆盛と愛加那の長男菊次郎が誕生した鹿児島県奄美大島の龍郷町にある龍家跡地に同町と鹿児島県が整備した「西郷小浜公園」が完成し23日、竣工(しゅんこう)式典が行われた。県道81号沿いにある「島のブルース歌碑」の近くで、敷地面積は5918平方メートル。家族の銅像やステージが設置されているのが特徴。竣工式で竹田泰典町長や原口泉志學館大学教授ら関係者がテープカットを行い、完成を祝った。
西郷小浜公園は2017年に整備が始まり、23年6月に完成。公園のメーン部分である上部は町の事業として整備した。銅像や石碑、水飲み場がある他、屋外イベントができるよう屋根付きのステージが配備されている。下部の広場は県の事業として行われ、トイレやクライミング遊具などがある。総事業費は2億8722万円。
最大の特徴は上部広場にある隆盛と愛加那、幼少期の菊次郎と妹菊草の4人が海を見詰める「家族の像」。町は「生きているうちにはかなわなかったであろう姿。菊次郎翁生誕地でこのような幸せな姿を残したかった」とし、「奄美大島での家族4人の銅像を設置することで、本町でしかアピールできない世界唯一の観光地」としている。
竣工式典後、上部ステージでは16、17の両日に町内で上演された菊次郎ミュージカルに出演した子どもたちが踊りを披露。龍郷集落住民も浴衣や法被を着て八月踊りを輪になって踊り、完成を喜んだ。
竹田町長は「完成し感無量。龍郷町は子育てができる街。この公園で子どもから高齢者まで幅広く利用してもらい、末永く愛される公園になってほしい」と語った。
竣工式で八月踊りを披露した龍郷集落の女性(75)は「見晴らしのいい場所で、集落みんなで喜んでいる。龍郷は西郷さんを癒やし、西郷さんに愛された集落。龍郷町の新たな観光スポットとして多くの人に訪れてほしい」と話した。