奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は11月3日、奄美大島のウミガメの上陸・産卵に関する2022年の調査結果をまとめ、発表した。産卵回数は399回で前年(326回)より22・4%増加した。そのうち深刻な減少が懸念されているアカウミガメは96回(前年59回)と5年ぶりに増加に転じたが、低水準が続く。同会は「ウミガメの生息数の増減については中長期的な分析が必要で、調査の継続が重要」としている。
調査は産卵期の4~9月に実施。ウミガメの上陸回数は582回。種類別ではアオウミガメ380回、アカウミガメ130回、不明72回。産卵回数はアカウミガメのほか、アオウミガメ274回(前年241回)、不明29回(同26回)。アカウミガメ、アオウミガメとも前年を上回った。
アカウミガメの産卵回数は、2012年の調査開始以降で最少だった前年より62・7%増えたが、過去2番目に少なく、最多だった2013年(663回)の2割以下にとどまる。
同研究会は餌場の東シナ海で、活発な漁業活動に伴う混獲や、餌資源の減少の影響に懸念を示し、「今後の推移を注視する必要がある」と指摘した。
リュウキュウイノシシによるウミガメの卵の食害は、22年は50件と前年(81件)より減少した。全産卵巣に占める食害の割合も12・5%と前年(24・8%)を下回った。地区別で多かったのは瀬戸内町与路島のアシニ地区20件、請島のケラジ地区16件など。
同会は産卵回数が減少する浜で食害が確認されなくなる傾向がみられる一方、食害が恒常化している浜があると指摘。「その地域の産卵個体群の減少も懸念される」として、保護対策の検討を求めた。
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