鹿児島県奄美大島の龍郷町秋名を流れる秋名川の上流に「トンジュウロウの滝」と呼ばれる滝がある。尾根から下るルートからしか行けず、地域住民もほとんど見たことがない幻の滝という。町文化財保護審議会の窪田圭喜会長(80)は「道のりを整備して観光活用に」と期待している。
滝は、長雲峠から本茶峠へ尾根伝いに向かう町道から歩いて20分ほど下った場所。秋名川の上流には複数の支流があり、トンジュウロウの滝はそのうちの「どぅくばすけゴー(川)」の源流に当たるという。
窪田さんによると、トンジュウロウは滝を住み家にしていた大男の名前。秋名の昔話では、畑の作物などを盗むトンジュウロウを村人が滝の上と下から挟み撃ちにして捕らえ、改心させたと伝わっている。
8日は窪田さんの案内で、町教育委員会の松村智行学芸員ら11人が滝へ向かった。滝は落差約20m。山の木々が蓄えた清らかな水を滝つぼにたたえ、やがて下流の秋名川へ合流して奄美の田袋の恵みを支えている。
仕事で奄美大島を訪れている旅人でライターの志賀章人さん(36)は「滝は全国にあるが、草をかき分け山を歩くのが面白い体験だった。滝にまつわる昔話も興味深い」と話した。
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