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鹿児島大学 国際島嶼(とうしょ)教育研究センター 奄美分室をご紹介!

うがみんしょーらん!ライターのとらおです。

鹿児島は有人離島数「26」 と全国でも離島の多い県です。

離島の総数は惜しくも長崎県に次ぐ全国第2位ですが、南北600kmにわたる地域の広さ、温帯から亜熱帯へ変化する気候帯、豊かな自然環境は鹿児島ならでは。

大学の施設が存在する離島の数はわかりませんが、奄美大島には2015年に鹿児島大学の国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室が設置されました。

大学の施設として研究に従事するだけではなく、地域住民とのつながりを大切に、人と人とを結ぶお仕事をされている奄美分室。

今回は、奄美分室の先生方がどんな活動をしているのかご紹介します!

奄美大島の研究成果を地元住民に伝えるために活動する、高宮先生

高宮先生は2015年の奄美分室立ち上げ初期から在籍され、奄美大島のことを大切に考えている高宮先生。

まずは、島嶼(とうしょ)という聞きなれない言葉について教えてもらいました。

色々と細かい定義はあるようですが、島嶼とは小さい島を含めた離島全般を指すそうです。

離島が多い鹿児島にはぴったりのネーミングですね。

奄美分室に来られる前は、「南国」奄美大島とは反対の「極寒」北海道の札幌大学で研究をされていたそうです。

学生の頃から奄美大島と沖縄について研究を行っていましたが、奄美大島の人達に研究成果を伝える機会は10年に1回あるかないか。

世界的にも珍しい島であることや、貴重な事実を地元の人達にも知ってもらいたいのに、成果を発表する機会が札幌では少ない現実にもやもやしていました。

そんな中、然るべきご縁とは用意されているもので、タイミングよく奄美分室の先生となり、奄美大島に住みながら研究活動とその成果を地元で発表できる環境へ身を移します。

奄美大島に赴任してからは、これまで島の人達に研究成果を還元できなかった現実を変えるため、積極的にシンポジウムや新聞での発表を行いました。それに伴い、以前の高宮先生のような思いを抱いていた本土の研究者も、頻繁に研究成果を発表する機会に恵まれるようになります。

このような形で奄美大島の住人と研究者のかけはしになったのが、高宮先生です。

「奄美大島の人に聞くと、この島には何もない、と答えることがあるが、そうではない。研究成果を地元に還元したい!」という熱い思いに賛同した他の先生方と共に、2020年には地元新聞社とコラム掲載が始まりました。

「魅惑の島々 奄美群島」と題して、たくさんの先生方が自分の研究成果を66回+特別枠にて執筆し、地元の人達へ島の魅力を伝えるだけでなく、親しみやすい語り口で楽しませてくれました。

「奄美大島にはまだまだ宝がたくさんある、奄美の歴史と自然は将来のことを考えるヒントにもなる」と語ってくれました。

立場の異なる地元住民の話を聞いて、お互いの考え方の違いをまとめ課題を解決する、宋(ソン)先生

 

宋先生の専門は「文化人類学」。

ちょっと難しそうに聞こえますが、幅が広く色々なことを研究する学問です。

現在は自然観光に関する調査をされています。

最近よく耳にする「エコツーリズム」、「環境保全」や「観光振興」に着目しながら、奄美大島の人達が自然をどう認識しているか、自然とどう関わっているかを調べています。

同じ奄美大島の住民でも「行政」、「観光業に従事するガイドさん」、「地元住民」などそれぞれ立場が異なると、何を価値ある資源と考えているか変わるそうです。

モットーは頭の中で考えるだけでなく、住民達の声を実際に聞くこと。

そうすることで、お互いの自然に対する考え方が異なった結果生じる葛藤を、うまく解決できるようサポートしています。

全ての住民に話を聞くのは難しいようですが、現在の状況を記録することを楽しんでいるようで、これまで使用したノートは全て保管しているとか。

このノートが将来きっと、価値ある大切な記録になるはずです。

一昨年から環境省が手がけている、三太郎線の利用ルール作りについても調査している宋先生。

色々な立場の人達の意見を聞いている宋先生だからこそ、良い提案ができそうで頼もしいですね。

大学院時代に鹿児島大学へ留学し、奄美大島出身の指導教官と出会い、奄美大島に旅行へ行き豊かな文化や自然、環境に興味を持ち始めます。

学生の時には住用の役場で働いた経験もあり、今も住用を中心に活動していますが、活動地域も徐々に広げています。

学生時代には奄美大島と沖縄を旅行したそうですが、奄美大島により惹かれたとのこと。

その理由は、沖縄のように観光地化はされてないけど、「まだ未完の面白さと居心地の良さ」を感じたからです。

宋先生は「素朴で何もない島」と感じる島の人達へ、そうではないことを改めて気付かせてくれます。

また、学生時代から関わってきた奄美大島が世界自然遺産になるかどうかの節目の年に、奄美大島に滞在できることを嬉しそうに語ってくれました。

社会人1年目の櫛田(くしだ)先生。リケジョの探求心で奄美大島をこれから開拓!

マスク越しにでも若そうに見える櫛田先生。

おそるおそる尋ねてみると、今年の3月に大学院を卒業したばかりの新社会人!

去年は卒業論文を執筆するために、黙々と机に向かう日々だったそうですが、奄美大島での新生活に目をキラキラと輝かせていました。

専門は海洋生物。イソギンチャクやクラゲ等の刺胞動物に分類される八放サンゴ、特に「ウミエラ」を研究対象としています。

どこに潜っても大規模な珊瑚の群落が残っている奄美大島には、今後も更なる新種のウミエラの発見が期待されるそうです。

一般には研究の対象になりにくい砂泥地と呼ばれる、ダイビングする人も少ない場所を活動フィールドとしているため、新しい発見をする可能性は更に高まります。

「浅瀬から深い所までどこでも探し放題、たくさん潜りたい!」と語る櫛田先生。

まさに「リケジョ」といった様子で、スラスラと説明してくれる一方で、聞いている側をワクワク楽しい気持ちにさせてくれます。

奄美大島に引っ越してきた際の心温まるエピソードも教えてもらいました。

それは、引っ越し先の家のクーラーを大家さんが新品にしてくれたこと。

大学時代は沖縄に住んでいて奄美大島が沖縄より湿度が高いことに驚いたそうですが、大家さんが新しいクーラーを設置してくれたので、湿気に負けず研究を頑張れそうです。

これまで採取したウミエラの一部を見せてもらいました。

新種を発見したこともあるそうで、なんと海底200mの所で採取したウミエラもいるそうです!

見た目は小さい生物ですが、海の中では櫛田先生に見つけてくれーと言わんばかりに主張してくるとか。

新しいウミエラを見つける、きれいな海を見る、潜るのも大好きな櫛田先生には奄美大島は最高のロケーションですね。

櫛田先生がウミエラの面白さを思う存分地元の人達に伝えながら、たくさんの笑顔があふれる日が楽しみです!

奄美分室の先生方と地元住民をつなげる、分室のキーパーソン生(せい)さん

唯一の奄美大島出身で、これまでの人生を通じて大学と縁のなかった生さん。

2015年以前は奄美分室がなかったため、奄美大島にずっと住んでいた地元住民や高校卒業後に働き始めた人にとっては、大学を未知の存在と感じる人も多かったと思います。

奄美分室が何をしている所かよくわからないまま、緊張しながらハローワークで見つけた奄美分室の事務員の求人に応募。

その結果、無事に事務員として採用された生さんの大学ライフ(お仕事)が始まります。

島の人が誰もいない職場環境はこれまでと全然違う、と感じたそうですが、アットホームな雰囲気と優しい先生方に囲まれ、楽しく仕事を始めることができました。

鹿児島市にある本学の事務員さんから仕事を教えてもらいながら、多岐にわたる業務をこなしています。例えば、宿舎の管理、ポスター作製、広報としてポスターやビラ配り、奄美分室へのお問い合わせに対する回答や本学の先生達の来島・スケジュール調整など。

奄美分室の先生だけでなく、本学に在籍する先生方と何回も顔をあわすうちに、すっかり奄美分室の頼れる事務員として皆から親しまれるようになります。

宋先生が生さんについて教えてくれました。

「生さんは、何でも教えてくれて、物知りで優しくて、奄美分室のメンバーと島の人々を繋げる大切な存在」

生さんを通じて先生方が島の人達とつながることがあれば、その逆に生さんを通して奄美分室の先生方とお知り合いになる住民もいるようです。

また、先生方が調査した活動についてフィードバックをしてくれる頼れる研究パートナーの一面も。

この仕事を通じて、島の知らなかったことをたくさん聞き、島って面白い!と感じたそうです。

自分が学んだ良い経験を1人でも多くの人が体験できるように、イベントを告知したり、フェイスブックでお知らせしたり、これからも先生方と地元住民の「つなぎ役」として奄美分室の存在を広げていきたい、と抱負を話してくれました。

地元の人達には敷居が高いと言われることもある奄美分室ですが、そんなことはありません。

ぜひ、お気軽に遊びに行ってみてください!

〇住所 鹿児島県奄美市名瀬港町15-1 奄美群島大島紬会館6階

〇受付時間 9時~17時

〇定休日 毎週土曜、日曜日

㈱しーま 編集部ライター とらお

㈱しーま 編集部ライター とらお

投稿者の記事一覧

奄美出身の夫と鹿児島出身の妻、令和生まれの息子、猫のとらおと4人暮らし。息子ととらおの可愛さに癒されつつ、日々成長していく姿を見守る日々。外の世界に興味津々な息子ととらおに奄美大島の魅力を伝えられるように、親しみやすい記事を執筆できるライターを目指しています。

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