奄美海洋生物研究会主催のウミガメミーティングが8月14日、オンラインで開かれた。同研究会の興克樹会長と東北大学大学院特任助教の浜端朋子さんが、世界的に増加しているアオウミガメの現状と課題を報告。
沿岸で見られやすくなり、水中観察の人気が高まる一方、沖縄では漁網を破られたりする漁業被害や希少な海草の食害が問題になっていると指摘。今後の保全や個体数の管理の在り方を考えた。
ミーティングはウミガメの産卵環境の保全を目的に、奄美各地で上陸、産卵に関する調査報告や観察会を行っている。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためオンラインで開催。興会長らが奄美市名瀬の大浜海浜公園バースハウスから生配信し、24人が視聴した。
興会長は奄美大島沿岸でアオウミガメが増え、水中で観察するシュノーケリングなどが人気を集めていると紹介。ライフジャケットの着用や、サンゴや熱帯魚の採取禁止など、関係者らで検討を進める利用ルール案を示した。
沖縄県久米島では7月、大量のアオウミガメが地元漁業者に殺傷されたことが明らかになった。
浜端さんはワシントン条約による商取引の禁止など、国際的にウミガメの保護が進んだことで、世界各地でアオウミガメの増加傾向がみられると報告。沖縄県西表島で希少な海草のウミショウブの食害が深刻化していることや、久米島以外でも漁業被害が問題になっていると指摘した。
環境省が西表島で進める個体数や漁業被害などの調査の取り組みを紹介し、個体数を管理するため、再び食用に利用することも考えられていると説明した。
報告後、参加者を交えて、奄美でのウミガメによる漁業、海草への被害や食利用について意見交換した。
会場から奄美大島で今月5日に保護されたアカウミガメの赤ちゃんの紹介があり、大浜海岸に移動して興会長らがウミガメの産卵場所やオカヤドカリなど浜の生き物について解説した。
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