5月上旬からひと月半ほど続く奄美の梅雨の楽しみの一つが、野山や街中に咲く花々です。
雨に映えるこの時期ならではの花々の中から、身近に見られる花を厳選してご紹介します。
梅雨の時期、白い花があちこちに
山の斜面や林の縁に生えるイジュは、奄美大島を北限として奄美・沖縄諸島だけに分布している固有植物です。
ツバキの仲間で、直径5cmほどの白い花をたくさん咲かせ、遠くからでもよく見えます。
街中にも植栽されているので、街歩き中に見かけることもあります。
森や林の道端で大きな白い花を咲かせているように見えるコンロンカですが、近くに寄るとこの通り。白い花びらのように見える部分は「がく片」です。
本当の花はがく片の隣、直径1cmほどの黄色い星形の部分です。
人里の林の縁や植え込み、民家の庭先など、さまざまな場所に生えているゲットウ。島では「サネン」とも呼びます。
先端にほんの少し紅を差した白いつぼみには、陶器のような透明感と光沢があり、雨に濡れるといっそう艶やかさを増します。
色鮮やかな花もあちこちに
梅雨に咲くのは白い花ばかりではありません。
乾いた明るい草地や林の縁、道端などに生えるノボタンは、奄美大島を分布の北限とするノボタン科の植物です。
高さ1~1.5mになる常緑低木で、直径6cmくらいの薄紫色の花を咲かせます。
奄美大島を縦断する国道58号線沿いでもよく見られる花です。
奄美では海岸や公園などに植栽されているデイゴは、マメ科の落葉高木。
新しい葉が出る前に、鮮やかな朱色の花を房状に付け、満開になると木全体が真っ赤に染まります。
花が終わると若葉が茂り、夏の暑い時期には涼しい木陰を作ってくれます。
【まとめ】花散歩は奄美の梅雨の楽しみ
亜熱帯海洋性気候で四季を通じて温暖多湿な奄美大島では、1年中花が咲いています。
もちろん梅雨の時期にも道端や公園、民家の庭先などで色とりどりの花が咲きます。
その中から今回は、身近に見られる「梅雨の時期限定の花たち」をご紹介しました。
梅雨空の下、傘を片手に花散歩、奄美の梅雨の楽しみです。
参考図書・資料
- 琉球弧・野山の花 from AMAMI 著者:片野田逸郎 監修:大野照好 発行所:南方新社
- 奄美の四季と植物考 著者:大野隼夫 発行所:道の島社
- わきゃあまみ➆ 奄美の花 100 奄美自然体験活動推進協議会・環境省奄美野生生物保護センター