鹿児島県瀬戸内町指定の天然記念物「デイゴ並木」が日本樹木遺産協会(森義仁代表理事)の「日本樹木遺産」に認定され、同町加計呂麻島の諸鈍集落で28日、看板設置を記念した除幕式が開かれた。参加した住民や関係者ら約50人は保全意識を高めるとともに、地域シンボルの新たな称号の付与を喜んだ。
日本樹木遺産は、巨樹や古木の保全を目的とした制度で、失われつつある貴重な樹木や景観をたたえ、樹木の専門家と協賛企業が協働して守る取り組み。これまでに、戸越八幡神社(東京都)の神木「ケンポナシ」などが認定されており、諸鈍の「デイゴ並木」は認定第4号となる。
同並木は、琉球交易船が目印にしていたと伝えられており、集落沿岸約300メートルに樹齢300年余りの巨木が立ち並び、5月ごろには深紅の花で彩られる。1978年に町指定の天然記念物となったが、2008年に病害虫被害が確認され、85本あったデイゴは62本まで減少。町は19~21年、24~26年に樹勢回復事業に取り組んでいる。
除幕式では、鎌田愛人町長が「諸鈍の皆さまが長年、大切に守ってこられたことが認定の大きな要因であり、感謝申し上げる。地域のシンボル、町の誇りとして、今後も保全に努めたい」とあいさつ。協賛する大樹生命保険の河野貴志広報グループ長は「社名『大樹』にちなみ保全活動に携わらせていただけることをありがたく思う。これからも、多くの人が集う、素晴らしい景観を守っていってほしい」と述べ、関係者らと紅白の綱を引いて看板をお披露目した。
また、樹木医で同協会の後藤瑞穂副理事が、地元の子どもたちとピカス音波計測器を使って一部樹木で内部の健康状態をチェック。診断結果は「おおむね良好」としながらも「並木全体では予断を許さない状況。腐った枝の切除や栄養を与えるなど継続した対策が必要」と説明し、参加した児童は「自分が住む地域の木が認められ、こうやって守られていくことがうれしい」と話した。
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