世界自然遺産の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の地域連携ミーティングが23日、オンラインで開かれた。国内の自然遺産地域の関係者らが持続可能な観光や、環境教育、エコツアーガイド育成などの取り組みを報告。環境保全と観光利用の両立や、次世代への継承に向けて情報交換した。
環境省の主催。2021年7月の世界自然遺産登録を契機に、奄美・沖縄4地域が連携を深め、地域活性化につなげるのが目的。同年12月に続き2回目で、官民の関係者約30人が参加した。
「持続可能な観光管理」と「遺産地域の人材育成」をテーマに報告があった。奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長は、自然散策ツアーが人気の金作原(奄美市名瀬)で導入された地域の自主ルールを紹介した。
認定ガイドの同行制や車両台数制限などの規制を導入したことで、過剰利用が回避され、希少な植物が回復していると効果を示した。今後は法令による規制を検討することや、多様な観光客に対応するため「ガイドが知識を深める努力が必要」と課題を挙げた。
西表島からガイドの免許制度の導入や、検討を進める「訪問税」などについて、沖縄島北部から東村でマングローブ域の保護と適正な利用を担う「慶佐次レンジャー」の活動について報告があった。NPO法人徳之島虹の会は、子どもたちの環境教育やエコツアーガイド育成の取り組みを紹介した。
国内の世界自然遺産の先進地からの話題提供もあり、知床(北海道)は知床五湖周辺でマイカーを規制してシャトルバスを導入する社会実験について、屋久島は集落の歴史や文化を案内する「里めぐり」の語り部育成やガイドの登録認定制度について紹介した。
参加者らの意見交換では、持続可能な観光について「上手に利用することが、保全につながるような観光地づくりが必要」と指摘があった。ガイドの質の向上を図るのが難しいと各地域から声が上がり、「スキルの高いガイドが選ばれやすい仕組みがあればいい」との提案もあった。
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