鹿児島県奄美大島龍郷町出身で慶応義塾大学総合政策学部3年生の成瀬茉倫(なるせ・まりん)さん(21)が、7月にポルトガルで開かれた第46回国際伝統音楽学評議会(ICTM)世界会議に出席し、奄美の島唄をテーマにワークショップを行った。成瀬さんは「ワークショップをきっかけに、奄美の先人たちが受け継いできた島唄というソウルミュージックについて世界中の人に知ってもらえれば」と語った。
成瀬さんは小学生の時に島唄と出合い、2018年に高校3年生で出場した第39回奄美民謡大賞青年の部で奨励賞を受賞。地域振興にも関心が高く、同年シンガポールで行われた中高生の国際シンポジウムでは日本代表として参加した。現在は大学で首都圏の奄美コミュニティーにおける島唄の機能などをテーマに研究する傍ら、唄者としても活躍している。
ICTMは世界各国の伝統音楽と伝統舞踊の研究、実践、文書化、保存、普及を促進することを目的とした学術組織。研究者や音楽家らが集う世界会議は7月21~27日、リスボンであり、慶応義塾大学からは環境情報学部のパトリック・サベジ准教授と成瀬さんら3人が参加した。
ワークショップでは成瀬さんが「今ぬ風雲節」「よいすら節」を披露したほか、参加者へ「朝花節」のはやしや、「島のブルース」「ワイド節」に合わせた踊りを指導。成瀬さんの歌声に合わせ、会場一体となって奄美の音楽と踊りを楽しんだ。会議に参加していたオーストラリアの先住民アボリジニとのコラボ演奏もあった。
会場では島唄に多用される裏声への関心が高かったという。成瀬さんは「世界的に見ても珍しい特徴だということを実感した。民族音楽について当事者がコミュニティーの内側から研究する例はあまりなく、これからも研究を深めていきたい」と語った。
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