本場奄美大島紬の後継者育成を目的とする就業体験(インターンシップ)が6日、鹿児島県奄美市名瀬の田畑絹織物(児玉光代表取締役)であった。ものづくりなどを学ぶ全国の大学・専門学生、社会人ら計6人が参加。職人の技術を間近で見学し、大島紬の製造工程に理解を深めた。
県が2023年に始めた事業で、県内の国指定伝統工芸品を対象としている。全国各地で伝統工芸の就業体験を支援する、ニッポン手仕事図鑑(東京都)に業務委託。今年は奄美大島で10月、11月の計2回企画した。
インターンは6日から2泊3日の日程。期間中は工場見学や体験、先輩移住者との懇談などがある。初日は田畑絹織物の工場を訪れ、各工程の作業について学んだ。
参加者らは、必要な長さと本数の糸をそろえる「糸繰り」、図案に合わせて絹糸の一部を防染するため、木綿で織り締める「締機(しめばた)」、染め工程を経た絹糸を布に仕上げる「織り」などを体験。職人らの説明に熱心に耳を傾けていた。
デザインを学んでいる武庫川女子大学生活環境学部3年の泉佳那さん(20)=兵庫県神戸市=は、「ここに来なければ分からないことがたくさんあり勉強になった。伝統工芸品は、新しいデザインや着物以外の製品に展開し、現代にマッチした形にすれば残しやすくなると思うが、もともとの文化も残さないといけない」と話した。
児玉代表取締役(77)は「以前は職人が80人以上いたが今は十数人と少なくなっている。(大島紬が)好きな若い人たちがいろいろな工程を学び、継承してもらえたら」と期待した。
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