誰もが安心して旅行できる島づくりを目指す「おもてなし基礎研修会」が11日、鹿児島県沖永良部島の知名町のコミュニティスペース「entaku(エンタク)」であった。特定非営利活動法人eワーカーズ鹿児島の紙屋久美子理事長が「ユニバーサルツーリズムの接客の基本」と題して講話。参加者は、高齢者や障がい者、外国人なども含め、すべての人が安心して旅行するための接遇のポイントなど、主にソフト面での取り組みについて理解を深めた。
研修は、県大島支庁の「奄美群島心のおもてなし推進事業」の一環。群島の主要5島で今年度2回ずつ計10回開催する。沖永良部島では今年度初開催で、観光業関係者や行政、視覚障がいのある人など5人が参加した。
紙屋さんは、車いす使用者や視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、加齢に伴う障がいなど、それぞれの状態に応じた受け入れ側の声掛けや、支援の在り方などを説明。車いす使用者への対応では、▽目線を合わせて話を聞く▽介護者などが同行している場合も、車いす使用者本人への声掛けを心掛ける│ことなどを助言した。
後半は、研修参加者を交えたトークセッション(自由討論)。和泊町で宿泊施設を営む町田実彰さん(48)は、バリアフリー対応の一環として、車いす利用者の宿泊がある際は施設内で段差がある箇所に手作りのスロープを設置するなどの取り組みを紹介。駐車場からホテルの部屋までの通路状況を撮影した動画を、希望者に事前に送ることもあるという。
研修会後、町田さんは「現在は電話などで問い合わせがあった際に伝えているが、障がいのある方などにとって必要な情報を、ホテルのホームページなどに事前に掲載しておくことも大事と感じた。今後、実践できれば」と話した。
沖永良部島での次回研修は12月を予定している。
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