奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は1月3・4日の両日、奄美市名瀬小湊地区の住民らを対象にしたホエールウオッチング体験ツアーを開いた。2日間で約80人が参加し、沖合でザトウクジラを観察。悠々と泳ぐ巨体が突然、海上に飛び出し激しく水しぶきを上げるシーンもあり、参加者は迫力満点の〝クジラショー〟に興奮し大歓声を上げた。
住民を対象にした体験ツアーは地域貢献活動として2年前に始めた。奄美近海に来遊し繁殖するクジラを身近に感じてもらおうと、観光客向けホエールウオッチングツアーの開始時期に合わせて実施している。
ザトウクジラは成体の体長約12~15メートル、体重約30トン。冬季にロシア周辺海域から奄美近海に来遊し、繁殖や子育てのため数十日間滞在する。出現数のピークは例年2月中旬。今シーズンの来遊は昨年11月下旬に初めて確認された。
4日のツアーは小湊に住む親子連れなど約40人が参加。午前9時に小湊漁港を出港し、沖合でクジラを探した。同市住用町和瀬沖で推定体長12メートル、8メートルの親子とみられるクジラ2頭を確認し、小湊沖まで北上する様子を追った。
観察中、2頭は息継ぎのため背中側から潮を吹き出す「ブロー」を行い、高く突き出した尾ひれを海面に叩きつける「テールスラップ」も数回披露。体が海面上に大きく飛び出す「ブリーチング」も見られ、背面で落ちながら大きな音と高い水しぶきを上げた。
昨春から小湊に住み、初めてホエールウオッチングを体験した児童は「かっこいい。また見たい」と大興奮。一緒に乗船した両親も「貴重な経験になったと思う」と目を細めた。
興会長は「ザトウクジラは縁遠い存在と思われがちだが、奄美で繁殖する『島人(しまっちゅ)』。身近にいることを知り、愛してもらいたい」と語った。同協会によると、昨シーズン(2021年12月~22年4月ごろ)の奄美大島周辺海域でのザトウクジラ出現頭数は1767頭。今シーズンも3月ごろにかけて見頃が続き、同程度の出現が見込まれるという。
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