うがみんしょーらん!ライターのとらおです。
美味しい食べ物が増える食欲の秋は、特に旬の食材を食べたくなりますよね。
今回ご紹介したい秋の味覚は、「マコモ」です。
マコモは龍郷町秋名・幾里地区で栽培されていて、近年地域の特色ある食材として生産数が増えています。
マコモとはどんな食べ物なのか、収穫の様子や食べ方などをご紹介します!
休耕田を活用して栽培しているマコモ
マコモはイネ科の植物で、水辺で育成します。
なんと、成長すると人の背丈ほどの大きさになります!
古くから人々の生活の中で活用されており、万葉集や古事記などの文学作品にも登場するようで、日本人には馴染みのある植物の1つ。
「そうはいってもマコモなんて知らないし・・・」という方もいるかと思います。
実は、私も最近までマコモのことを知りませんでした。
龍郷町秋名・幾里地区は奄美大島内でも田んぼが広がる珍しい地域で、お米やマコモなどが栽培されています。しかし、農業に従事する方が減ってきたため、休耕田が目立つようになっていました。
休耕田の活用と地域おこしの作物として、注目されたのがマコモです。
昔からマコモを生産されている方もいましたが、数年前からマコモの栽培には特に力を入れるようになり、多くの田んぼで立派なマコモが育っています。
マコモの栽培数が増えるにつれ、秋になると地元の新聞でも取り上げられるようになり、人気食材となっています!
マコモの収穫は全て手作業!
今回はマコモを栽培されている荒田義雄さんに収穫の様子を見学させて頂きました。
マコモの成長には気温の低下が関係しているため、温暖な奄美大島では適切な大きさになるかが大切なポイントになります。今年は収穫前に急に気温が下がったおかげで、グングン成長したそうです。
田んぼでは、何千~何万本ものマコモが荒田さんの背丈より高い2mほどに成長していて、そこから食べられる部分を収穫します。
実際に食べる部分は、茎の部分が肥大化した部位で「マコモダケ」と呼ばれます。
マコモダケは黒穂菌(クロボキン、地元ではコクボキンとも)と呼ばれる菌の影響で肥大化します。
マコモダケには黒穂菌が黒いはん点となって生じる場合があります。
昔はこの黒いはん点を泥だと思って食べなかったそうですが、今では問題なく食べられることがわかっていますので、安心してください。
マコモやマコモダケと呼び方が違うと、なんだかややこしいので、この記事ではマコモと統一して説明しますね。
荒田さんは今年で83歳とは思えない元気の良さで、1株1株成長したマコモを探しては鎌を使って手作業で収穫します。
田んぼの中で収穫したマコモを大事そうに見つめながら出来栄えを確認した後は、手元にある容器に入れて、テンポよくどんどん収穫していきます。
根気のいる作業に感じますが、荒田さんの作業を見ていると、見ている側は不思議と元気がわいてきます。
荒田さんは「おいしかった!」「また食べたい!」と言葉をかけてもらえる事がとても嬉しいそうです。マコモを食べてくれる人の笑顔を考えながら、丁寧にそしてポジティブにお仕事をしている荒田さんの気持ちが伝わってきました。
田んぼでとれたマコモは、その場である程度外皮を剥きます。
すべての収穫工程が全て手作業だとわかると、生産者への感謝の気持ちがわき、より美味しく頂けると思いますよ。
実際に食べる際には、購入後さらに外皮を剥く必要がある場合も。白い部分が可食部ですので、タケノコのように外皮を取り除きましょう。しかし、外皮を剥きすぎるととても小さくなることがあるので、程度に剥いてくださいね。
地産地消の取れたてのマコモを「あらば食堂」で食べてみた!
マコモはタケノコをより優しくした食感で、ほんのり甘く、素焼きでも、豚肉と炒めても、天ぷらにしても、煮物にしてもおいしいといった万能食材です。炒めると、シャキシャキとした歯ごたえを楽しめますよ。
秋名・幾里地区には「シマの食文化を伝える」をコンセプトに、地場産の食材を活用した家庭料理を味わえる「あらば食堂」があります。
この時期は、もちろんマコモを使った日替わりメニューがおすすめ!
お盆の真ん中にある煮物はマコモと他の食材との相性が良く、なんだかほっとするおいしさ。
また、その右上にある素焼きのマコモは、シンプルながらそのままでも塩を付けてもおいしく、お酒のつまみにも良さそうでした!
「地元の農家さんがマコモを持ってきてくれました!」など従業員同士の明るい声が聞こえてきて、元気のある接客が印象的でした。ほっこりする家庭料理を味わいに、また行きたいな、と思える食堂です。
機会があれば、ぜひあらば食堂で美味しいシマ料理を味わってみてくださいね。
捨てるところがない!マコモの活用方法はたくさん!
あらば食堂の味を再現するのは難しいですが、自宅でもマコモ料理にトライしてみました。天ぷらとみそ汁を作りましたが、マコモは扱いやすい食材で手軽に調理できます。
天ぷらは奄美大島産の塩と、鹿児島県指宿で作られている唐船峡のつゆの両方で味わってみましたが、どちらもとてもおいしいかったです。
マコモは肥大した茎を食用に用いますが、その他の部位の活用方法についても荒田さんが教えてくれました。
葉っぱはお茶にしたり、入浴剤にしたり、黒穂菌を活用した化粧品もあるそうです。
食べてよし、浸ってよし、塗ってよし、まさにスーパーフードマコモは捨てるところがありません。
今後はさらにマコモの新しい活用方法も期待できそうで、楽しみですね!
マコモをまだ食べたことがない方は、ぜひ秋名・幾里産マコモをご賞味くださいませ。
- 〇あらば食堂
- 所在地:〒894-0332 鹿児島県大島郡龍郷町幾里423番地
- 電話番号:0997-58-8842
- 駐車場:あり