鹿児島県徳之島の生産者と民間企業が連携して商品化を進めてきた徳之島コーヒーの発売記念イベントが9月29日、伊仙町の直売所「百菜」前で開かれた。事業を進めてきた4者の代表や関係者ら約150人が来場。7年をかけて迎えた晴れの日を祝うとともに、今後の生産振興を祈願した。
島内のコーヒー生産は1982年にスタート。2017年6月からは徳之島コーヒー生産者会(泉延吉会長、会員33人)と伊仙町、味の素AGF、丸紅が協定を結び「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」を推進している。
記念式典には泉会長、大久保明町長のほか、味の素AGFの島本憲仁代表取締役社長、丸紅飲料原料部の吉村雅比古部長らが出席。泉会長は「この日を迎えられて感無量。関係者の心強い支援のおかげ」と感謝し、「今後は生産拡大と産地としての確立、若手生産者の育成に努めたい」と意欲を述べた。
大久保町長は「今からが本当の勝負。徳之島コーヒーを世界に発信できるよう今後も力を合わせてほしい」と結束を呼び掛け、AGFの島本社長は「すっきりした味わいで日本の水に合う世界一のコーヒー」と品質に太鼓判を押した。
関係者らはあいさつで、徳之島のコーヒー生産の先駆者で、昨年11月に亡くなった吉玉誠一さん(享年79)の功績を口々にたたえた。妻の道子さん(70)は「この日を見せてあげたかった」と故人をしのびつつ、「コーヒーの生産は簡単ではない。今後も故人の遺志を継いで品質向上に努めたい」と語った。
会場ではコーヒーの試飲のほか、コーヒーに合う黒糖菓子や豚みそ、軽食なども販売。コーヒー豆の焙煎(ばいせん)体験コーナーも設けられ、来場客は香ばしい香りの漂う中で飲食を楽しんでいた。
徳之島コーヒーは島内産、ブラジル産、コロンビア産のブレンド。カップにはめてお湯を注ぐドリップバッグタイプで1パック300円で販売する。販売開始は10月1日で、当面は島内限定で販売する。
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