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正月終わりに「ヒキャゲ」 龍郷町、ランチでも提供

鹿児島県奄美大島では、小正月を過ぎて大寒へと向かう18日は、サツマイモと餅を練った芋餅「ヒキャゲ」を食べる日。シマのおっかん(島のお母さん)の手料理を提供する龍郷町幾里の宿泊・飲食施設「荒波のやどり」では、スタッフがヒキャゲを作りランチメニューの一品に加えて提供した。

 各種文献や島民の記憶では、ヒキャゲは正月行事を終えるという意味や、餅状で粘りがあるため箸で挟んでお椀(わん)まで引き上げられることから名付けられた、など諸説ある。14日に家に飾られた「ナリムチ」(餅を付けたリュウキュウエノキの枝飾り)を下ろし、枝から餅を外してサツマイモと一緒につぶし、こね合わせて作られていた。現代では季節を問わず、家庭料理として食べる家もある。

 荒波のやどりではスタッフの広瀬次子さん(74)=安木屋場=がヒキャゲを調理。地元・秋名で収穫された黄や紫色のサツマイモを使用し、皮をむいて水で煮た後、餅を入れて砂糖で味付け。火から下ろし、すりこぎ棒で根気強く練り上げると「おっかんの旬替わり定食」(1200円)の一品として食卓を彩った。

 広瀬さんは「昔はナリムチの餅は、枝が垂れ下がるぐらいが縁起がいいとされていたからもっと大きかった」「昔のヒキャゲには木の皮が混じっていることもあった」など幼少期の思い出を話しながら「ヒキャゲは餅を大切に食べる先人たちの知恵。(伝統を)大事にしたい」と話していた。

南海日日新聞南海日日新聞〔写真〕水煮したサツマイモと餅をすりこぎ棒で根気強く練りヒキャゲを作る荒波のやどりのスタッフ=18日、龍郷町幾里

南海日日新聞〔写真〕水煮したサツマイモと餅をすりこぎ棒で根気強く練りヒキャゲを作る荒波のやどりのスタッフ=18日、龍郷町幾里


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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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