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「野茶坊焼守り広げたい」 ALT、陶芸学び帰国

鹿児島県奄美市名瀬の「野茶坊焼」窯元・池淳一さん(75)に弟子入りし、陶芸家を目指す外国人女性がいる。米国出身のセーラ・フェラーさん(25)。2017年から3年間、市内の外国語指導助手(ALT)として職場と工房を行き来する生活を続けてきた。今夏で任期を終え、28日に帰国。自身の工房開設とブランド確立を目標に掲げながら、「野茶坊焼を守り故郷へ広げたい」と意気込んでいる。

セーラさんはフロリダ州生まれ。ミズーリ州のカンザスシティ美術大学で彫刻・粘土を専攻。浮世絵が大好きだったこともあり、日本の芸術についても学んでいた。先生の勧めもあって来日を決意し、卒業から3カ月後の17年8月にALTとして奄美市に着任した。

粘土を続けたかったセーラさんは同僚に池さんを紹介され、そのまま弟子入りを志願した。池さんいわく「最初で最後の弟子」。

日中は県立奄美高校で英語を指導。放課後は同校の美術部に顔を出し、少し睡眠を取ってから午後10時ごろに工房へ。生活に慣れるまで苦労したが、「プロになりたいなら1時間でも30分でも、粘土に触るだけでもしなさい」という池さんの教えを守り、毎日工房へ通った。

セーラさんは陶芸の魅力を「自分の作りたいものを自分の力で形にできる。どんな人が使うのか、どういう使われ方をするのか、焼き物の将来を考えて作るのが楽しい」と語る。池さんのもとで学ぶうち、粘土にも命があると思うようになったという。

3年間の島暮らしを振り返り、「島は温かいし、人と人との絆が強い。やりたいことがあれば必ず誰かが世話を焼いてくれる。そこがいい。マイアミにも同じようなコミュニティーを築きたい」と話した。

 帰国後は双子の姉と工房を開く計画を立てており、「自分のブランドを作って、その中に野茶坊焼のシリーズも作りたい。野茶坊焼は私の陶芸のルーツ。最初で最後の弟子だから、守っていきたいしアメリカに紹介したい」と胸の内を語った。

池さんは「基本は全部マスターしたはず。これからは努力というより経験。続けることが大切、頑張って」とまな弟子の背中を押した。

南海日日新聞〔写真〕「野茶坊焼」唯一の弟子、セーラ・フェラーさん=9月1日、奄美市名瀬

南海日日新聞〔写真〕「野茶坊焼」唯一の弟子、セーラ・フェラーさん=9月1日、奄美市名瀬

南海日日新聞〔写真〕作品を手に笑顔の師弟=9月1日、奄美市名瀬

南海日日新聞〔写真〕作品を手に笑顔の師弟=9月1日、奄美市名瀬


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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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