環境省奄美野生生物保護センター主催のワークショップ「外来カエル類の侵入を防ごう」が10月27日、鹿児島県奄美市名瀬の奄美博物館であった。奄美海洋生物研究会(興克樹会長)の木元侑菜調査員(31)が講師となり、特定外来生物「シロアゴガエル」が沖縄や与論島に侵入、拡大した事例を説明。外来種定着による生態系変化の危険性を指摘し、早期発見や根絶の大切さを訴えた。参加者24人は奄美大島の在来ガエルの特徴も学び、外来種を発見するための知識を身に付けた。
シロアゴガエルは東南アジア原産、体長5~7センチの中型ガエル。口の上側の白い縁取りが特徴で「ギィ、グイッ」と単発的に鳴く。吸盤が大きく高い部分に登るため、発見や捕獲が困難。直径5~8㌢の卵塊(泡巣)を民家の池や水面上の木の枝、コンクリート壁面などに産む。オタマジャクシには鼻先に白い斑点がある。
国内では1960年代に沖縄島中南部で生息を初確認後、急速に分布を拡大し2000年代には沖縄県内のほぼ全域に定着した。与論島では2013年5月に確認、19年には全域での定着を確認した。奄美大島内ではまだ確認されておらず、侵入防止の取り組みが重要となる。
木元さんは早期発見に向け、(1)普段から在来ガエルの鳴き声に耳を澄ませる(2)見慣れないカエルの姿や声を発見したら録画・録音(3)在来種であっても生息地から移動させない(4)資材搬入時は卵の付着やカエルの侵入を確認―を意識するよう呼び掛けた。
続いて奄美大島の在来ガエル9種の特徴を「ギー」「キャララ」といった鳴きまねを交え説明。録音した鳴き声を再生し、鳴き返し反応で生息を調べる「コールバック調査」を紹介、参加者らと同館周辺で調査を行った。カエルの発見は無かったが、在来種のヒメアマガエルの幼生を確認した。
瀬戸内町から参加した國宗弓穂さんは「カエルの鳴きまねは記憶に残り楽しかった。ガイドの仕事をしているので、コールバック調査や外来種侵入防止活動をガイド客に紹介できるようになりよかった」と話した。
奄美野生生物保護センターは、特定外来生物の侵入・拡大を防ぐため、ホームページで「奄美カエル鳴き声図鑑」を公開している。
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