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「フチモチ」作りに挑戦!奄美大島の春を味わおう

奄美大島には島の文化や風習と結びついたお菓子や料理がたくさんあります。その中でも春の始めに食べるのが「フチモチ」。春になると元気に育つ、あの植物を使った甘いお菓子です。

そんなフチモチを実際に作ってきました!

そもそもフチモチとはどんなものなのかや、作り方などをご紹介したいと思います。

フチモチって何?

フチモチとは、奄美大島で食べられているカシャ(クマタケラン)の葉で包んだよもぎ餅のこと。奄美大島の中でもいろんな呼び方があり、地域や包む葉の種類によっては「カシャ餅」とも呼ばれます。奄美ではサンガツサンチ(旧暦の3月3日で、だいたい4月中旬ごろ)に食べる習慣があります。

サンガツサンチには家族で海岸に出かける風習があります。子どもからお年寄りまで揃ってお弁当やフチモチを持って行き、食べたり貝をとったりしてのんびり過ごします。サンガツサンチに海に入ったり足を浸けたりしないとカラスになる!と言い伝えられている地域もあり、海遊びを楽しむ人たちの姿も見られます。新暦では3月3日が女児の節句ですが、旧暦を大切にする奄美では、このサンガツサンチに初節句を迎える0歳児の足を海に浸けて無病息災や健やかな成長を願う行事も行われます。

フチモチに使われるヨモギには体内の毒素や老廃物を出す効能があると言われています。それ以外にも、腸内環境を整えて便秘を解消してくれたり、美容効果、体を温める効果、リラックス効果など、さまざまな効果があるとされている薬草なんです。

昔から島のお母さんたちが手作りで作ってきたフチモチ。現在は商品として販売されているものもあり、奄美大島のスーパーや商店などで手軽に手に入ります。

フチモチを作ってみよう!

フチモチを実際に作ってきました!今回フチモチを作りに行ったのは奄美大島南部、瀬戸内町の篠川(しのかわ)集落。10名ほどで、おしゃべりしながら楽しく作っていきます。

ヨモギを道端で摘むところからスタートです。道を歩けば、もこもこと元気に生えているヨモギがたくさん摘めました!摘んだヨモギを洗って、茎を取って柔らかい葉の部分だけに分けます。

次に、ヨモギを茹でます。水2Lあたり重曹を5g入れ、アクを取りながら3〜5分茹でていきます。重曹を入れることでヨモギが柔らかくなり、発色もよくなるそうです。茹で汁は真っ黒になっていましたが、すでに調理場からはヨモギのほろ苦く爽やかな香りが漂ってきて、なんだか春の訪れを感じます。

茹でたヨモギを絞って水気を切り、包丁で細かく刻みます。茹でた後のヨモギはシナっとしているのでうまく包丁で切れず、みんなで四苦八苦…。ある程度刻めたら、すり鉢とすりこぎ棒を使ってすっていきます。

この刻んでする作業が肝心で、この段階でヨモギが固まってダマになってしまったら、いざ食べる時にそのままダマを食べることになってしまいます。なるべく細かく刻んで、なめらかになるまで根気よくすることが大切です。する作業は力が必要なので、わたしは翌日筋肉痛になってしまいました…。

ここでヨモギの重さを測ってみると、951g!さらに水気を絞ったら930gでした。10人でたくさん摘んだつもりでしたが、1kgにも届かないとは…。がんばって作業していた分、思ったよりも少なかったのでちょっと残念な気持ちになりましたが、昔の島のお母さんたちはこんな大変なことをずっとやっていたんだよな~、と、あらためてその偉大さに気づかされました。

さて気を取り直して、ヨモギと同量の黒糖と上餅粉(じょうしんこ)を測り、混ぜ合わせます。もちろんフチモチは砂糖で作ってもいいそうですが、今回は贅沢に奄美の黒糖をたっぷり使わせてもらいました。

少量の水を加えながら粉っぽさがなくなるまで手で混ぜ、もちもちとした手触りになるまでしっかり混ぜ合わせます。耳たぶくらいの硬さになったらOK!

ここで、同時進行でクマタケラン(カシャ)の葉をきれいに洗って水気を拭き取り、12~13cmほどの長さに切っていきます。

包みやすいように形を整え、クマタケランの葉で包みます。形はどんなものでもいいのですが、あとで蒸すときに葉っぱからはみ出た部分があるとベタベタしてしまうので、余裕をもって包みきれるような大きさで形を整えるのがポイントです。包んだものをせいろの中に並べたら、40分蒸していきます。

さあ、いよいよ蒸し終わりました!蒸し終わりを待っていた面々から「わ~!」と歓声が!ふわっと湯気が立って、ヨモギの爽やかな香りが広がります。蒸す前と比べると、葉っぱの色が少し茶色っぽくなっていますね。中はどうなっているかな…?

オープン!柔らかくてモチモチ、ちゃんと中まで蒸しあがっていました~!かじるとモチ~っと伸びます。口に入れる前からヨモギのいい香りがしていましたが、噛むと口の中でさらにふわっと香りが広がり、黒糖の香ばしい味わいも感じられます。これは…うまいっ!

ちなみに、途中でクマタケランの葉が足りなくなったので、いくつかアカメガシワの葉で代用して作ってみました。かしわ餅みたいになるんじゃない?と想像しながら包んで蒸した結果、出来上がりはこんな感じに!

うーん…。葉っぱが縮んでクシャッとした見た目になってしまい、あまりおいしそうに見えないですね。中身は同じなのでおいしいのですが…。昔の人もいろんな種類の葉っぱで試して試行錯誤し、クマタケランが使いやすいという結果に行きついたのかな?なんて想像しながら、みんなで試食しました。

奄美大島で春に食べられるフチモチ。自分で作るのはなかなか大変でしたが、出来上がったものは市販のフチモチよりもさらに美味しく感じられました!ヨモギを見かけたら、フチモチ作りにチャレンジしてみるのも楽しいですよ。

㈱しーま 編集部ライター 藤原志帆

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大阪大学外国語学部卒業。在学中チリ、スペイン、アメリカに留学し、中南米の6カ国28都市をバックパッカーとして周遊。その後新卒で不動産広告のITベンチャー企業に就職し、トップセールスを獲得する。TOEIC865点、スペイン語検定4級取得。現在は美しい海に憧れて奄美大島に移住し、フリーライター、通訳士(スペイン語・英語)、アフリカンダンサー、予備校など多方面で活動中。地酒の黒糖焼酎が大のお気に入り。

■「奄美群島情報サイトしーまブログ」https://amamin.jp/

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