奄美の歴史と深い関係のある「蘇鉄」の話題です。
大和村の山あいです。道路のそばにはソテツが生えています。
梅雨明けまでの今の時期、奄美大島では、ソテツの花が咲き、その受粉作業が行われます。
自然に受粉することもできますが、ソテツは貴重な食糧でしたので、奄美大島では、地域ごとに手作業で受粉作業を行って、秋にソテツの実(ナリ)を収穫していたのだそうです。
こうして雄花を切り取ってひだ部分をそぎ落とし、まずは種をとります。
とった種を、開いた雌花の上に乗せることで受粉します。秋にナリが実り、収穫できるようになります。
こうした作業は、梅雨の終わる前、わずかな時期しかできません。しかも、雌花の開いた状態の時しか受粉はできないそうです。
実ったナリは、もう使い道も決まっています。村民体育大会のナリ入れです。(玉入れ)
ソテツの手入れというのがこんなにも手間暇かけて行われていることを私たスタッフも初めて知り、これまでも幾度となく奄美を救ってきたソテツにあらためて感謝の気持ちがわきました。
ソテツの葉が風になびく様子は、奄美のよく見かける風景ですが、そうした風景や昔の人のご苦労を伝えるために、今もコツコツ作業を引き継いでいる方がいる、ということに感動。
新型コロナウイルスの影響が早く収まって、安心して村民大会が開けるようにと願っています。今は、先送りになっている世界自然遺産への登録の時に、こうした風景や文化も、胸を張って世界に紹介できるようになればと思います。