鹿児島県喜界島出身の画家で「沖縄のピカソ」と高い評価を受けた高島彦志さんの遺作を集めた「高島彦志作品集~南風の記憶」が3月出版された。100点以上の作品を掲載。ユーモアにあふれ、独特のファンタジックな世界が広がる。沖縄美術界の重鎮や友人たちが心温まるメッセージを寄せた。
高島さんは1950年生まれ。幼い頃に沖縄に移住した。首里高校を経て琉球大学美術工芸科へ進んだ。在学中から沖展などで入賞を重ねた。卒業後は琉球放送に勤務しながら創作活動を続けた。
90年代以降は県内外の公募展で数々の賞を受賞した。94年は全国公募展の「第3回あけみお展」で大賞を受賞。98年は那覇空港国内線新ターミナルデザインコンペでタペストリー銀賞、ステンドグラスは銅賞を受賞。2000年は「第18回上野の森美術館大賞展」賞候補に選出された。新たな展開が期待されていたなか、昨年1月31日、病気のため68歳で死去した。
高島さんは絵画に加えデザイン、イラスト、漫画、童画と幅広いジャンルで才能を発揮した。美術評論家で元沖縄県立美術館副館長の翁長尚樹さんは「絵画作品の特長はドローイング(線描)。ニューペインティングやイラスト、漫画などの成果を取り入れながら、独特のファンタジックでおおらかな画面が際立つ」と評価する。
交友関係も広く、多くの人に慕われた。友人たちは高島彦志プロジェクト(新城安哲代表)を立ち上げ、3月に遺作展と作品集の出版を企画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、遺作展は延期。作品集のみの出版となった。作品集は非売品。来年3月、沖縄・浦添市美術館で「遺作展および作品集」記念会を開催し、配布する予定。
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