うがみんしょーらん!ライターのとらおです。
奄美市の一集落1ブランドに認定されている「アッタドコネ」。
奄美市名瀬有良(あった)集落で栽培される伝統野菜です。
初めて聞く人は「アッタドコネって何?」と疑問に思うかもしれません。
アッタドコネとは地名と方言を組み合わせた言葉、「あった(有良)+どこね(大根)」。つまり大根のことです!
方言ではアッタドコネと呼ばれますが、一般的に有良ダイコンとも呼ばれます。
島の宝の1つでもある「アッタドコネ」、今回はその魅力をご紹介します!
有良集落とアッタドコネ
有良集落は、奄美市の名瀬市街地から龍郷町荒波地区方面へ向けて、山1つ越えた車で30分ほどの所に位置する集落です。
周りを海と山で囲まれた人口約60人ののどかな集落。
地元の人は有良集落を「アッタ」と呼びます。
鹿児島県では、鹿児島在来種として古くから栽培されてきた歴史ある野菜を「かごしまの伝統野菜」として認定しています。
鹿児島県のホームページによると、これまで選定された伝統野菜は23品目。そのうち在来大根は6種類で桜島だいこん、国分だいこん、開聞岳だいこん、横川だいこん、山川だいこん、そして「アッタドコネ」です。
全国各地で様々な大根の品種が栽培されていますが、南九州から沖縄地方にかけては、他の地域と異なる独特の大根が見られるようです。
奄美大島のアッタでのみ栽培されているアッタドコネ。
地元の魅力を伝える役割も担っています。
アッタの町内会や郷友会のご婦人方で結成した、アッタドコネの生産を行う「あったどこねくらぶ」と販売を担う「NPO法人 奄美ティダの環」。この2つの団体が連携して、アッタドコネの普及と集落活性化のための活動を行っています。
今回は両クラブに所属する平田暉子さんの畑を見学しました。
アッタドコネの特徴と昔ながらの収穫方法
アッタドコネは9月に種を植え、12月には葉っぱが地面を覆うぐらい大きく広がります。好奇心旺盛な息子が葉っぱを持ち上げて観察していました。
根身部は長さ50cm程度の白色で、太さや長さが若干ふぞろいですが、それもアッタドコネの特徴です。
根っこ(身)が曲がっていたり、側根が横に伸びていたり、さらに重量が2~5kgあることから、収穫時には男性達に協力して頂きます。
取材当日も平田さんの旦那様がスコップ片手に、せっせとアッタドコネを掘り起こしていました。
収穫はお正月料理に備えて年末に一部、残りは年明けの1月中旬~下旬にかけて天候を見ながら行います。種が市場に出回ることはほとんどなく、自分たちで種子採取まで行います。
掘り起こしたアッタドコネは、土を落とすため水につけて洗います。
平田さんの畑の近くには川が流れており、通常その川で土を落とします。
アッタドコネを川へ運ぶのも重労働ですが、川で大きなアッタドコネを洗うのがまた大変な作業。
ちなみに、平田さんの畑では農薬を使用していないため、川に農薬が流れる心配もありません。
川でアッタドコネを洗うと、すぐに綺麗になりました!
おじいさまはアッタドコネを抜き、おばあさまは川でアッタドコネを洗い。。
まるで昔話のセリフにありそうな光景を目前でみることができ、昔ながらの懐かしさを感じました。
丸ごと食べられるアッタドコネ。おすすめの食べ方をご紹介
アッタドコネは捨てる部位がない、万能な大根。
主要部分である根身はサラダなどの生食や煮物などに利用されます。
煮崩れしにくいため、特におでん等の煮物がおすすめ。
他の大根と比べ皮に厚みがありますが、その皮もきんぴらや漬物にして食べられます。
最近では「葉っぱ」の人気が高まっています。
これまで、邪魔者扱いされ捨てられていた葉っぱですが、栄養価が高いと評価され皆に喜ばれる存在に変わりました。
葉っぱを何に利用するかというと・・・答えは「ふりかけ」。味噌汁の具に利用する人もいますが、ごま油で炒め白ゴマやシラス、鰹節と絡めてふりかけとして活用する人が増えています。
葉っぱの活用方法をあみ出した、アイディアマンに感心します。
これだけで終わらないのが、アッタドコネ。
アッタは山と”海”に囲まれた集落。海からの潮風に乗ってアッタドコネは切り干し大根というミネラル豊富な食材へと変身します。短冊状に切られた切り干し大根が、各家庭に干されている様子はこの時期ならではの風物詩です。
取材当日のアッタドコネ収穫が無事に終わり、帰りに名瀬大熊の漁港でシビ(マグロ)とカツオを購入しました。
早速、採れたてのアッタドコネを千切りにして刺身のツマにしたほか、ツナと合えたサラダにして夕食に食べました。
辛味と苦味が強いと言われていますが、今回のアッタドコネはほどよい辛味で、とても美味しかったです。
アッタドコネの今後の展望にご注目!!
アッタドコネは生産量が少ないため一般販売しておらず、どこでも入手できるわけでありません。
毎年「ティダの環市」でアッタドコネを販売していますが、2021年は新型コロナウイルス感染症予防と今期の育成状況が悪かったため、中止となりました。
奄美の食文化の1つでありながら、なかなかお目にかかれない貴重なアッタドコネ。
鹿児島大学の先生が興味を持ち、研究をされているようです。
面白い成果が発表される日が待ち遠しいですね!
今後も島の宝である「アッタドコネ」にご注目です!