―奄美群島日本復帰中継―
決死の密航・奄美から初のラジオ生中継
開局早々の1953年12月、大きな出来事が待っていた。米国が25日のクリスマスの日に、当時米軍の占領統治下にあった奄美群島を、日本に返還したのである。
MBCラジオ実況中継「奄美大島復帰記念式典」1953年12月25日(昭和28年)放送
MBCは、まだ開局して2か月ほどだったが、8年間の米軍統治から解放された復帰の日の喜びの表情を取材して放送することは、地元唯一の民放ラジオの使命であるとして、現地からの中継番組を企画する。
しかし、取材陣の渡航許可がなかなか得られない。結局、2人の取材班が録音機材を携え、奄美大島に密航した。
復帰当日、祝賀会が行われた名瀬小学校の校庭には、復帰の歌「朝はあけたり」の高らかな大合唱が響き、街には万歳の声がこだました。その模様は、取材班により、全国に中継放送された。それはまた、MBCの全国への初名乗りでもあった。この日は朝から、1日中奄美関係の特集番組が放送され、奄美の人々もその放送を聞き、わきにわいた。