鹿児島県奄美大島で69年の生涯を終えた孤高の日本画家・田中一村(1908~77)の命日に当たる9月11日、奄美市有屋にある一村終焉(しゅうえん)家屋で第34回「一村忌」が行われた。地元有志ら約20人が参加し、一村をしのんだ。
一村を顕彰するため、有志で組織する「一村会」(美佐恒七会長)が毎年開催。今年は命日と日曜日が重なったことから、一村をしのび学ぶ「一村キッズクラブ」(県奄美パーク田中一村記念美術館)の活動と合同で行われた。午前中開催は初めて。
参加者は約1時間かけて家屋周辺を清掃した後、家屋の縁側に設けた祭壇に手を合わせて冥福を祈った。新型コロナウイルス感染対策として屋外開催を予定していたが、献杯の途中で雨が降ったため屋内に移動。参加者から「一村さんが『家に入りなさい』と言ったのかも」などの声も聞こえ、和やかな雰囲気の中で執り行われた。
美佐会長(74)は「一村は作品だけでなく、生き方に感銘を受けるファンも多い。一村の生涯を若い世代に伝えていければ。コロナの収束後の命日には、八月踊りや島唄で盛り上げたい」と話した。
田中一村は1908年7月、栃木県生まれの日本画家。50歳で奄美大島に移住し、大島紬の染色などをしながら数々の傑作を残した。
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