伝統・文化

家内安全祈り「ツカリ」 龍郷町秋名・幾里=アラセツ前日の伝統行事、受け継ぐ家庭減少

鹿児島県奄美大島・龍郷町の秋名・幾里地区では9日、アラセツ(新節)行事の「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」が行われた。前日は「ツカリ」と呼ばれ、8日は各家庭でコウソガナシ(家屋敷の守り神)にごちそうを供えて家内安全を祈った。

秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長(83)によると、ツカリはミハチガツ(三八月)=アラセツ、シバサシ、ドゥンガ=のそれぞれ祭り日前夜に女性が中心となって準備。ミキや焼酎のほか、各家庭に伝わるやり方でお供え物を並べる。

アラセツ前夜は線香を3回あげた後にお供え物をいったん片付け、翌日の早朝にもう一度並べる。ショチョガマが倒れる前までに、さらに3回の焼香を済ませるしきたり。高齢化などにより、ツカリの風習は年々廃れているという。

この日、窪田会長の自宅では長女の瀬戸口マキさん(58)がツカリのお供え物を用意。魚の揚げ物や野菜と昆布の煮物、果物などを並べて3本の線香を立て、家族の繁栄を祈って手を合わせた。

窪田会長は「時代の流れか、昔のしきたりが次々遠ざかっているように感じる」と語った。

アラセツ前日、ごちそうを供えて家内安全を祈る「ツカリ」=8日、龍郷町幾里

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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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