奄美大島・大和村の大和中学校(抜水茂樹校長、生徒31人)で12月9日、総合的な学習の一環として奄美の正月料理「三献」の調理実習が行われた。旬の地場農産物の加工・販売を行う同村のまほろば生活研究グループ(泉美保子代表)から7人を講師に招き、1年生11人が島料理作りに挑戦。地域の食文化への理解を深めた。
三献は正月や祝いの席で行われる奄美の伝統儀式。赤椀(わん)のお吸い物に餅など奇数のわんだね(具)が入った「一の膳」、魚の刺身などを盛った「二の膳」、黒椀のお吸い物に魚の切り身や豚肉などが入った「三の膳」からなり、地区や家庭によって具材や味付けは異なる。
この日の献立は海老や餅など七つの具が入った「一の膳」の吸い物。旬の野菜ハーヤマン(赤山芋)入りごはんと、デザートとしてサツマイモの芋餅にも挑戦した。生徒たちは講師の指導を受け、慣れない手つきながらも丁寧に調理。同村名音のシイタケや奄美市名瀬のかつお節など地元食材もたっぷり使用し、香りも味も見事な一の膳が完成した。
調理後は講師らと共に試食。実習を終えた生徒は「毎年おばあちゃんが作ってくれる三献とは具も味も違う。自分で作るのは初めてで大変だったけれど、おいしくできてよかった。家でも作ってみたい」と笑顔で話した。講師の政德代さん(70)は「奄美には素晴らしい食材がたくさん。土地の食材を大切にし、季節とつながる島の行事にも心を向けてほしい」と語った。
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