奄美のソウルドリンクと言われているミキ。ミキは奄美では昔から作られており、炊いた米とすりおろしたさつまいもと砂糖を加え、発酵させて作る伝統的な健康飲料です。乳酸菌がたくさん含まれており、栄養価の高い発酵飲料として知られています。
今では手作りする人は少なくなりましたが、昔は家庭でも作られていました。冷やしても温めても飲むことができ、今でも奄美の年配の方々は暑い時期や体調により食欲が無いときには、ミキを飲んで栄養補給をしています。ミキは奄美の人(シマッチュ)であれば、誰でも知っているメジャーな飲み物です。
「甘いおかゆ」もしくは「お米のヨーグルト」とも称される発酵飲料
おかゆをさらにつぶしたようなトロッとした食感と甘味に少し酸味が効いているミキですが、初めて口にされる方の中には、「甘いおかゆ」もしくは「お米のヨーグルト」と表現する方も。
苦手と思われる方も多くいらっしゃいますが、幾度か試すうちにいつの間にかミキの
虜になる方もいらっしゃる程、独特な味わいのある発酵飲料です。乳酸菌を豊富に含んでいることから、便秘や肌荒れにも効能があるといわれ、美容にも良いとされています。
神様に捧げるお神酒が始まりだった
ミキという名前からしてとても興味深いですが、もともとは神事や祭祀に用いられ、神と人をつなぐお供え物として奉納されていました。お神酒(おみき)の「みき」からきているネーミングですが、カタカナとして広まっているのが面白いですね。
ミキは奄美独自の飲み物という訳ではありません。それぞれで名称は異なりますが、沖縄本島や石垣島、宮古島などでも作られています。
奄美のどこででも手に入るメジャーな飲料
奄美では複数のメーカーがミキを作っており、基本的な作り方は同じですが、それぞれの味に特徴があるので、ひいきの「ミキ」を持っているシマッチュもいます。
「ミキコーナー」を作っているスーパーもあるので、旅行者も気軽にミキを試すことができますよ。
なかには、島外の人々にも広くミキを広めたいという思いから、酸味のあるすももやパッションフルーツなどの果汁を加えて飲みやすい風味に仕上げたフルーティーなミキも製造されています。
ミキを美味しくアレンジ
そのまま飲んでも美味しいとされるミキですが、独特な味が苦手な方にも楽しめるアレンジ方法をご紹介します。
ミキを小さめのグラスかお皿によそい、その上にパッションフルーツをのせます。パッションフルーツの酸味がミキのトロッとした甘さをほどよく中和させてくれるので、飲むというよりはデザート感覚で味わうことができます。
酸味のあるオレンジジュースと割ることで、飲みやすい乳酸ドリンクになります。南国のミキと南国のマンゴーも相性は抜群です。
ミキに無調整豆乳を入れると優しい甘さの豆乳飲料になります。また、この豆乳飲料を常温で一晩寝かせることで、豆乳ヨーグルトに変身します。
美味しくて健康にも良い奄美のソウルドリンク「ミキ」。発酵飲料のため、これまでは島外への発送が難しいと言われていましたが、冷凍したミキや長期保存が可能となったミキなど、奄美以外の場所でも味わえるようになりました。
機会があれば、ぜひ一度ためしてみてくださいね。