学校内で給食を調理・提供する「自校方式」が今年度で終了する鹿児島県奄美大島の宇検村立名柄小中学校(迫田尚久校長、児童6人、生徒2人)は23日、同校に勤める調理員2人を招き、最後の給食を一緒に囲む「感謝の会」を開いた。43年間稼働した給食室で作られた〝母校の味〟を談笑を交わしながら楽しんだ。
同校の給食室は1978年11月開設。地域住民らが調理員として勤務し、栄養バランスの取れた食事提供のほか、全国給食週間(毎年1月24~30日)には食育をテーマにした「エプロンシアター」を実施したり、共に給食を食べたりと、さまざまな交流を深めてきた。
一方、児童生徒の減少により1食当たりの単価が村内で最も高く、物価高騰のあおりや調理員の人材不足、施設の老朽化などの理由から今年度で終了。新学期からは、田検小中共同調理場からの給食配送となり、16、22日には試験配送が実施された。
調理員の内田美穂さん(40)は「子どもたちの『おいしかったです』『ありがとうございます』の言葉が支えとなり、代々続いてきた給食室。終わってしまうのは本当に寂しい」と断腸の思い。
「感謝の会」では、代表者から調理員2人に感謝状と記念品が手渡され、「今まで、温かくて、おいしい給食をありがとう」とお礼の言葉が贈られた。
自校給食の最後の献立は、薩摩鶏を使ったオーロラチキン、野菜たっぷりのジュリアンスープ、麦ごはん、牛乳。「一番人気の献立はなんだった?」「調理が大変なメニューって何?」など、会話を楽しみながら〝母校の味〟を堪能した。
調理員への感謝の気持ちとして手作りのバナナケーキとみたらし団子を差し入れた児童は「カレーが一番好きだけど、今日のメニューもおいしい。アツアツの給食は最後なので、残さず食べたい」と笑顔で話した。
村は「学校給食のあり方検討委員会」で、2025年度をめどに村内全ての小中学校で自校方式を終了し、センター方式へ移行する方針。
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