奄美大島にIターンし、獣医師として活動している伊藤圭子さん
「大学の卒業研究がたまたま奄美のマングースをやろうということになってやるんだったら、島に定期で来たい。夏休み春休みに1か月ぐらい滞在して研究したりとか、何が問題なのかも含めて。そうしている内に奄美が好きになってしまった」
愛知出身の伊藤圭子さん(42)は、関東の大学の獣医学科で学んでいた2003年、卒業研究のため、初めて奄美を訪れました。その後、獣医師となった伊藤さんは、奄美に何らかの貢献ができないかと、2013年に移住を決意しました。
当初は奄美市内の動物病院に勤務し、交通事故にあったアマミノクロウサギの治療にもあたるなど、野生生物への対応に目が向きがちだったものの、奄美で仕事を続けるうちに、ペットなどの動物への対応にも課題があることに気づいたといいます。
(伊藤圭子さん)「もともとは野生動物をやりたいと思ったが、島に来て分かったのが動物病院が少ない。犬・猫の問題もいっぱいあるというのが分かってきて絶対的に病院が少ないし奄美以外の他の離島も病院がないというところもあるので何らかの協力ができないかと」
こうした課題に気づいた伊藤さんは、今年3月、独立して新たな動物病院をオープンさせました。
その名も「いんまや動物病院」。奄美の方言で「いん」は犬、「まや」は猫のこと
この日、病院には伊藤さんを頼りにする犬の飼い主が訪れていました。
「動物が好きな先生です。お休みの時も対応してくれる。すごく助かります」
伊藤さんは、喜界島や加計呂麻島など、獣医師がいない島でも診療ができるよう、車に機材をまとめてあります。病院の名前は「いんまや」ですが、伊藤さんのもとにはウミガメやクジラ、猛禽類のハヤブサなど様々な動物の治療にも関わっています。
(なかなかハヤブサ飼っている人いないですよ)
(伊藤圭子さん)「いないと思いますよ。飼養許可みたいなものも取って。もうちょっと私に余裕ができたら小学校とか教育現場に連れていきたい」
獣医として奄美の自然や文化と触れ合ってきた伊藤さん。そこには住んでみて初めて知った魅力があると話します。
(伊藤圭子さん)「もちろん野生生物の多様性がすごくて、ここにいてもルリカケスがいたりとかアカヒゲもさえずったりとか、野生動物が豊富で身近であるというのも大きいが、文化もすごいというか、住んで一緒に踊ったりすることで踊りの意味や唄の掛け合いの意味とか、各集落で違うのがすごく面白かった」
奄美に移住して7年、伊藤さんはこれからも獣医師として奄美で暮らし、触れ合いを続けていきたいと考えています。
(伊藤圭子さん)「このままいて良ければいさせてほしいし、たとえばいろんな問題が解決してたくさん病院ができたりして私の役割が終わったなと思ったら出ていくかもしれませんけど、たぶんないと思うのでいさせていただければいいなと思っています」