奄美大島の特産品である黒糖。
地元では調味料として使ったり、お茶やコーヒーのお供として食べたりします。
お土産コーナーにはバリエーション豊かな黒糖が並んでいますが、中でもぜひ味わっていただきたいのが、水間製糖の「鍋かき黒糖」!
最近でもテレビの全国放送や多くのメディアに取り上げられ、全国的に知名度が高まっている水間製糖。おいしい製品ラインナップのなかでも、一番のレアモノと言われるのが「鍋かき黒糖」。基本的に店舗でしか購入できないためです。
鍋かき黒糖は普通の黒糖と何が違うのか?実際の製糖の様子も交えてご紹介します!
まさに職人技。昔ながらの手づくり製法
龍郷町の国道58号線沿いにある水間製糖は昔ながらの製造方法で、今でもそのほとんどを手作業で行っています。
それでは、どのように黒糖が製造されるのかご紹介します。
原材料は奄美産サトウキビのみ。サトウキビから絞り汁を得る作業が黒糖づくりの始まりです。
1日1トン〜1.5トンほどの絞り汁を使用しますが、成分が酸化して劣化していくため1日で作業を終えなければならず、スピード勝負です。
製糖作業は朝4時頃から開始し、釜焚き作業を4、5回繰り返すことで、午前中で製造作業を終了させます。1日最大150キロの黒糖が製造されますが、絞り汁の80〜85%は水分のため、出来上がる黒糖の量は絞り汁に対してなんとたったの1/10。
黒糖づくりの大変さと黒糖の貴重さが伝わってきますね。
今回取材して改めてわかったことは、黒糖づくりはまさに「職人技」。
黒糖の味や色は仕入れたサトウキビの状態により変化するため、様子を見ながら火加減を調整し、絞り汁を手作業でかき混ぜ、じっくりと煮詰めます。
その間、工場内は黒糖の甘い香りに包まれます。
煮詰めた絞り汁は最後に撹拌(かくはん)機で空気を含ませながら水分を飛ばし、カリッとした黒糖へ仕上げます。仕上がった黒糖は釜ごとに味が違うため、毎回味をチェックしているそうです。
撹拌機に投入する前に、水飴状態の黒糖を試食させていただきましたが、柔らかくてそのままでも十分おいしい!奄美ではこの黒糖の水飴を「さたゆ」と呼び、撹拌しない黒糖はずっと水飴のままです。さたゆは販売されておらず、ここだけで試食させていただける貴重な水飴です。
ふんわりとろける、幻の「鍋かき黒糖」
撹拌して水分を減らした後、黒糖をバットに移し通常の四角い黒糖へと成形していきますが、撹拌機に残った少量の黒糖をさらに撹拌することで水分を減らし、ヘラでかき取ったものが「鍋かき黒糖」です。
早速出来立てほやほやの鍋かき黒糖をいただきました。
通常の黒糖はカリッと歯で噛む、という感じですが、鍋かき黒糖はふんわりと口の中で溶けていきます。
普通の黒糖より甘味が凝縮されてとても濃厚です!お茶と一緒に食べたくなる…!!
鍋かき黒糖は出来上がり後2、3分で固まり始めるので、ふわふわの食感を楽しめるのは製造直後だけ。食感が良いので特に年配の方に人気なのですが、残念ながら生産量が少なく、店舗で販売する分はすぐに完売するとてもレアな黒糖です!
冬の奄美を訪れたら、美味しい黒糖を食べに行こう
併設された売店には釜ごとに黒糖が並べられています。
試食して購入できるので、好みの味を見つけるのも楽しいですよ。
黄色い袋に入っているのが鍋かき黒糖です。
製糖のシーズンはサトウキビの状態をみて10月頃から6月頃まで行っています。
特に寒暖の差が大きい2・3月は、甘味が凝縮されているのでおすすめです。
シーズン中は製糖の見学(午前中のみ)が自由にできるので、ぜひ水間製糖へ鍋かき黒糖を食らいに行きませんか?
水間製糖
- 住所:鹿児島県大島郡龍郷町中勝1440番地
- 営業時間:8:30〜18:00
- 電話:0997-62-2431
- 定休日:月曜日