奄美市立奄美博物館の2023年度講座「歴史・文化景観を巡るシマあるき」が1月20日、鹿児島県奄美市笠利町の宇宿・城間集落であった。島内から24人が参加し、地理学を専門とする駒沢大学文学部の須山聡教授(60)の案内で、地形や樹木、家や畑といった景観に着目しながら散策。宇宿、城間地区の景観の特徴や魅力について理解を深めた。
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奄美博物館主催のシマあるきは22年度に始まり、4回目。23年度は7月に名瀬小湊地区でも行った。
今回のコースは宇宿貝塚史跡公園を出発地として、海岸沿いのサイクリングロードを通り城間、宇宿の住宅地に入るおよそ2キロのルート。参加者は、県指定文化財(史跡)の城間トフル墓群や、国指定重要文化財(建造物)の泉家住宅を巡ったほか、途上のサトウキビ畑やモクマオウ林、民家の石垣、津波石、河川(前川)などの景観にも着目した。
須山教授は砂岩と泥岩から形成される同地域の地層についても言及。泥岩層が地下の水を受け止める役割を果たし、宇宿、城間の井戸からは塩分を含まない真水が出ることなども、当時の集落形成・発展の要因の一つと推測した。
また、奄美や沖縄ではかつてアダンの葉の繊維で帽子を編み、輸出していたことなどにも触れ、「こうした植物や地形、環境の利用は、そこに住む人たちの知恵の結晶」と伝えた。
シマあるき後は、宇宿生活館でワークショップを開き、参加者が感じた景観の印象や特徴をまとめた。
参加した同市名瀬の男性(69)は「地層を含め、さまざまな環境的な条件が人の生活や集落の立地にも関係していることに気付き、感心した」と話した。
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