奄美群島新ビジョン懇話会(座長・原口泉志學館大学教授、委員17人)の第6回会合が12月11日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。昨年度策定した「奄美群島成長戦略ビジョン2033」を踏まえ、事務局側がビジョン達成度を評価する指標や各種施策を盛り込んだ2024年から前期5年間の基本計画、実施計画の両案を説明。委員から達成状況を把握する指標項目や沖縄との連携を見据えたモニタリング調査などについて意見が上がった。来年2月上旬までに第7回会合を開く。
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成長戦略ビジョンは、奄美群島12市町村が一体となって将来像を描き、実現に向けた推進施策などを示す10年計画。24年からスタートする新ビジョンは、23年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長や各種交付金制度の理論付けにもなることから、今年度内の基本計画、実施計画の策定を目指している。
事務局の奄美群島広域事務組合が示した基本計画案では①つなぐ宝②稼ぐ力③支える基盤―を柱とし、各分野、各島の基本方針、基本方策を掲げた。ビジョン達成度を評価する指標として、群島で取り組む「全体指標」の9項目、各島固有の特色を考慮した「独自指標」5項目について、これまでの実績などから算出した目標値を提示した。
全体指標のうち、移住者数の項目は2018年度の958人から22年度に1787人へ増加したことを踏まえ、28年度末の目標を3千人と設定。農業産出額の項目は人口減少に伴う担い手不足やスマート農業技術の導入などを考慮し、28年度は現状維持となる20年度の325億円から、過去最高だった16年度の370億円まで3案を示した。
実施計画案では奄美群島広域事務組合を実施主体とする群島全体の実施計画5項目、市町村が主体となり群島各島で実施するプロジェクトの概要や事業期間を説明した。
評価指標について委員からは「目標達成による変化を把握するため、積み上げの指標設定が必要」「評価指標の算定根拠を明確にして」などの意見が上がった。また、ごみ問題やオーバーツーリズムなど、施策の達成による交流人口増加などに伴う課題への対応を検討するよう求めた。
このほか「奄美群島の発展には沖縄との連携が不可欠」として、沖縄との人流や物流に関するモニタリング調査実施に関する意見もあった。
奄美群島成長戦略ビジョン2033の基本計画、実施計画は、第7回会合で計画案を決定し、来年2月下旬ごろに開かれる奄美群島市町村長会への提言書提出を経て策定される。
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