鹿児島県奄美群島の日本復帰の歴史を考える座談会「復帰検証Q&A会議」(復帰伝承6団体主催)が10月7日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。「奄美群島の日本復帰運動を伝承する会」の花井恒三事務局長が司会を務め「奄美で生きる上で道に迷ったり壁にぶつかったりしたときに、先人がどうやって(復帰運動を成し遂げ)壁を突破したのかを学ぶ『復帰の辞書』を引く力をつけることが大切」と意義を語った。
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1953年に米国のダレス国務長官が米軍統治下に置いていた奄美群島を返還する意向を明らかにした「ダレス声明の日」の8月8日に予定されていたが、台風の影響により延期。7日は市民ら約60人が参加し活発な議論を交わした。
花井事務局長は、奄美の復帰運動を検証する際▽薩摩藩統治と米軍統治はどう違うか▽沖縄の復帰運動と奄美群島の復帰運動の共通点と違いは何か-を比較できれば奄美群島の復帰運動の特徴が浮かび上がってくるのではないか、と問題提起。
また、10年前の復帰60周年時に若い世代と復帰運動を語る会を開いた際、聴講者から「年寄りの昔話を聞くだけの会か」との意見があったと紹介し、「(米軍統治下の)閉ざされた8年間を、復帰運動を経験した先人たちはどのように乗り越えたのか知ることが若い人たちの役割になるのではないか」と指摘。その上で、「復帰運動の歴史を過去のものにするのではなく未来の奄美像にどう結びつけて考えていくかが大切だ」と述べた。
聴講した神奈川県の大学生(21)は「復帰運動の歴史をいいところだけ扱い美談としてのみ語り継ぐのはうそくさい。酸いも甘いも教えることが大切では」と意見を発表。また奄美市名瀬の女性(60)は米軍統治下時代の奄美で、親族が警察官をしていたことを紹介し、「同じ奄美の人として復帰運動を取り締まる側だったのは嫌だったと聞いた。復帰運動の負の部分も伝えていきたい」と語った。
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