日本を代表する美しい花 ー 桜。一般的に桜の季節と言えば春ですが、ここ奄美では桜は冬の風物詩なんです。
奄美で咲く桜は、日本一の早咲桜と言われるヒカンザクラ(緋寒桜)。サクラの原種の1つで台湾や中国から伝わり、奄美や沖縄県など南西諸島にかけて分布しています。
関東で一般的なソメイヨシノは薄いピンク色ですが、ヒカンザクラは梅のような濃いピンク色が特長です。花も下向きに咲くため、ソメイヨシノなどの桜とは異なる趣きがあります。
ソメイヨシノは開花してから8分咲きで満開となるまで約1週間と短いですが、ヒカンザクラは開花してから1ヶ月半~2ヶ月と長く楽しむことができます。
そんなに早く咲く?!元日桜(ガンジツザクラ)とも言われる理由
ヒカンザクラには複数の呼び名があります。
「ヒカンザクラ」というカタカタ名称が一般的ですが、カンヒザクラ(寒緋桜)、タイワンザクラ(台湾桜)、ヒザクラ(緋桜)などなど。また、ガンジツザクラ(元日桜)と呼ばれることも。
元日って1月1日だけど、そんなに早く咲いているの?!と驚かれるかもしれませんが、ここ奄美では多くの行事が旧暦で行われており、新暦より1ヶ月ほど遅れる形となります。
旧暦の1年の始まり (元日) はその年により変わりますが、だいたい1月後半から2月上旬辺り。「ヒカンザクラ」が咲き始める時期もちょうどその辺りなので、ガンジツザクラ(元日桜)と呼ばれるのです。
なお、お彼岸の時期に咲き始める「彼岸桜(ヒガンザクラ)」という桜もあるのですが、こちらはソメイヨシノに似たピンク色で、「ヒカンザクラ」とは全くの別ものです。
名前が似ていて間違えやすいので、「ヒカンザクラ」よりもカンヒザクラ(寒緋桜)と呼ばれることも多いですが、ここ奄美では「ヒカンザクラ」として親しまれています。
ヒカンザクラを楽しめるスポット
内地では桜の時期に良く見かけるお花見パーティー。公園などに集まってお弁当やお酒を楽しむ方も多くいらっしゃるかと思います。
ヒカンザクラは1月に咲きますが、比較的暖かいとされる奄美でも1月は寒いため、お花見をしている風景はほとんど見かけません。そのため車で行って、サクッと桜を楽しむスタイルが主流です。混雑して場所が確保できないという事は無く、いつ行ってもゆったりと桜を楽しむことができます。
奄美では、車を走らせているとふと目に飛び込んできたりするような場所に生えていることが多いですが、以下の場所でもヒカンザクラを楽しむことができます。
- 奄美自然観察の森~本茶峠(龍郷町)
- 龍郷町秋名・幾里集落(ライトアップで夜桜が楽しめます)
- 奄美市名瀬崎原桜通り
- 奄美市笠利町須野ダム
- 奄美フォレストポリス(大和村)
奄美の緑と濃いピンクのコントラストが美しい
1月後半から3月中旬まで長い期間楽しむことができるヒカンザクラ。常緑樹が全域に発達している奄美では、冬でも緑が青々としています。そんな緑と濃いピンクのコントラストはとても美しく、写真映えします。
私も初めて見た時には桃の花かと思ったくらい、1月に咲く桜なんてあるの?!とびっくりしましたが、ビビットなピンクがかわいいこのヒカンザクラがすっかり気に入ってしまいました。
皆さんも奄美でヒカンザクラを見かけたら、ぜひ写真におさめてくださいね。